今、全国が注目する天草の企業誘致。進出企業と地元とが共に歩みを進めるために。
天草ふるさと住民noteをご覧の方、こんにちは。
ライターの可知敬斗です。
今回は10月23日に行われた「天草進出企業と地場企業との交流例会」に参加させていただきました。
今、天草の地域活性化で一番ホットな話題である「企業誘致」。
私も地域活性化に取り組む一員として、天草の企業誘致は実際どうなっているのか、進出した企業の方は何を思われているのか、なぜ天草に進出することを決めたのか。また、地場企業の方は企業誘致・進出企業に対して何を思われているのかなど、色々と気になるところがありお邪魔させていただきました。
そもそも、天草の企業誘致って何?
いきなり企業誘致と言われても、普段から天草の地域活性に関心を寄せている方でないとなかなか知る機会がないと思うのでまずは簡単にご紹介します。
皆さんも知っての通り、天草は人口減少・少子高齢化の中、課題先進地域とも言われ非常に厳しい状況に立たされています。
特に若者の流出が深刻であり、高校卒業後の進学先がなく、働く先の職種も少なく、若者が地域の仕事に魅力を感じにくい。そのため、持続可能な地域経済づくりに欠かせない「人材の確保」が極めて難しい状況です。
今後、この地域が生き残っていくためには、その「人」をどう育てていくかが重要です。
しかし、その「人」は、自治体に魅力がないと集まらないし、残りません。
そこで天草市は地域ブランド力向上のため、新しいライフスタイルの提案として「企業誘致」に注力しています。
近年、地方創生機運の高まりや、コロナ禍でのテレワーク推進などもあり、都市の人たちが豊かな暮らしを地方に求める流れができました。
都市部企業の方たちにとって天草はそういった魅力のあるところであり、天草市にとっても企業が進出することで、そこで雇用が生まれ、人材が育つ。
また、地域にプロの人材が来てくれることで、そこに交流が生まれ天草の人たちに新しい価値観を与えてくれる。
企業誘致は、若者が魅力を感じるような新たな産業、雇用の創出を生み、また、一度島外に出ていった人たちにとっても戻ってきやすい、仕事環境を整備できる。
これが、都市企業にとっても、島民にとっても「新しいライフスタイルの提案」ということなのです。
そういった思いと背景があり、天草の企業誘致活動は始まりました。
そうして全力で誘致に取り組んだ結果、これまでになんと23社もの企業が天草に進出をしています。
全国的にもトップクラスの誘致企業数を誇り、九州の各地、ないしは全国の地域から注目をされています。
しかし、進出して終わりでないのが企業誘致です。
進出した後に地域にどう良い影響を与えられるかは、企業と地元がお互いに手を取って取り組まなけらばいけない、これからが勝負なのです。
そして、今回開催された「進出企業と地場企業の交流例会」は進出企業と地場企業との最初の交流会。長期に渡り活動を続けていくための関係性構築のために開催されました。
↓ 23社が進出するまでの誘致の取り組みについて、詳しくはこちらの記事に記載しています ↓
進出企業の紹介(一例)
簡単ではありますが、例会で行われた各進出企業のプレゼンテーションから内容を抜粋し、具体的にどんな企業が進出しているのか紹介していきます。
(株)ORENDA WORLD
「クリエイティブ×テクノロジーで世界をおもしろく」を合言葉に、最先端技術で世の中に役に立つサービスを提供する会社です。ゲーム・エンタメ事業では開発や映像制作、CG制作などを行い、サービス・ソリューション事業ではAIを活用した社会課題解決型のサービス提供を行っています。
天草では、来年度より天草工業高校に新設されるCGコースの講師にプロのデザイナーが就任。実際のゲーム開発・CG制作技術を教育カリキュラムとして体系化し、高校生に実践的な授業を行うことになっています。
また、一般社団法人デジタルアート天草という団体を既に設立しており、天草にないゲーム・アニメ制作等のコンテンツ産業創出・関連企業誘致を行い、同時に人材育成もしていく予定だそうです。
(株)ビム・アーキテクツ
「創造的な社会の構築」をミッションに建築を情報化して活用するBIM(Building Information Modeling)という技術を駆使した、建築設計業務、BIM運用支援、コンサルティングなどを行っている会社です。
BIMとは、図面で説明すると1時間以上かかるようなパース・イメージを、設計情報が組み込まれた3Dモデルで説明することで効率的な建築ライフサイクルを実現する技術のことです。
天草では、新しい教育にチャレンジして若い人材を育成し、天草で人材を確保したいということと、なかなか大都市では難しい都市の情報化に天草で挑戦し、建物の情報や空き家の情報などを色々な企業と共有したりすることで新しい情報の活用を行いたいと仰っていました。
(株)CX Value Lab
「やさしい体験」を通じて価値を作るをテーマに、中小企業とベンチャー企業の価値創出型のコンサルティング、プロジェクトマネジメントを行っている会社です。
天草では、「天草が持つ本来の価値を持続的な価値に、届く価値にしていきたい。作りたいもの、ちゃんと価値が出そうなものに投資ができる環境にしたい。5年10年の中長期で天草に根付いて、皆さんと同じ目線で志を同じくして伴走させていただきたいです。」と仰っていました。
(株)パララボ
「1up LIFE あなたにもうひとつの人生を」をミッションに、VR、AR、メタバースなどのIT技術を駆使したコンテンツの制作、映像制作、自治体・企業のDX化支援などを行っている会社です。
天草では、今年3月に本渡北浜町にコワーキングオフィス「パララボ天草」を開業し、コワーキングスペース、イベントスペース、スモールオフィスなどを運営しています。スモールオフィスは他進出企業の天草での最初のオフィスとしても活用されています。
また、(株)パララボ本社のある福岡天神と天草のビジネスを繋ぐ未来場づくり「天天界」を月に一度開催し、新たなビジネスの創出も行っています。
今後はメタバースで天草の旅を体験するプログラムを制作する予定でもあるそうです。
(株)プレシード
「モノづくりを通して感動を」をミッションに、常にモノづくりの未来を目指し、モノづくりの理想を叶えることを目標に機械装置開発・設計・制作を行っている会社です。
天草では、廃校の小学校を活用して建物をそのまま工場として活用しています。本社の熊本の方では人材が足りなくなってきていることもあり、天草で人材を確保・育成するために進出をしたとのことです。そのため今まで都市部で働かれていたシニアの人材に「最後天草でゆっくりしながら若手を育ててください」というようなUターンIターンを促進しているそうです。
(株)Senjin Holdings
「マーケティングの最前線で事業を創造する」東大生を中心に創業したWEBマーケティング・採用代行の会社です。早く、安く、広く伝わるインターネット広告を網羅的に支援しています。
天草では、まだまだ低い地方のインターネット広告割合を増やし、WEBを通して人を集めて、新商品開発や事業開発につなげることをしたいと仰っていました。
他の進出企業に関してはこちらをご覧ください。
進出企業の方にインタビュー
(株)CX Value Lab 廣瀬隆彦さん
・天草に進出してみての感想や、今感じていることをお聞かせください。
「今回の交流例会のような場も含めて、右も左もわからないときから天草の人には色々なところで進出をサポートしていただいた。こういった人の温かさというのが天草のすごい魅力だなと感じていますし、その人への可能性を感じたから進出することも決めました。素晴らしく綺麗な場所なので色んな方に知っていただきたい。5年後10年後、ここに住む方々が幸せになれるようにお手伝いしていきたいです。」
・天草の人に向けて伝えたいことがあればお願いします。
「もしかしたら、天草に住んだことがあると、地元を過小評価するきらいがあるかもしれませんが、今まで客観的に色々な地域を見てきましたけど、天草は人が揃っている。そして明確な課題があって、つまりポテンシャルがある。自信をも持って未来の天草を一緒に作っていきましょう。」
(株)ORENDA WORLD 藤本航さん
・天草に進出してみての感想や、今感じていることをお聞かせください。
「我々二人は自分から手を上げる形で天草に移住してきたのですが、天草の人たちは本当にピュアな人たちで、ちょっとお金がかかってしまうことでもそんなことは関係なしにサポートしてくれる。その姿勢に心打たれて一緒にやりたいなと思って移住をしてきました。例えば市の職員さんが一日中物件探しに付き添って回ってくれるなんてことはなかなか無いですし、サポートとして一級品だなと思っています。そこをもっと打ち出していったらそれに魅力を感じる企業は多いと思います。」
・天草の人に向けて伝えたいことがあればお願いします。
「もし、天草の外にいる人がこれを見ていたら、外に出たことを失敗と捉えて天草に帰ってくることはやめてほしい。”都心、働きづらい”それで戻ってくることとか。何か都会に出たことで得たものを持ち帰って活かしてほしい。都心が働きづらかったとしてもその経験を前向きに持ち帰って戻ってくる。天草をそういうマインドにしていきたいなと思っています。」
天草の地場企業の方にインタビュー
(お名前は伏せさせていただきます)
・今回の進出企業さんのプレゼンテーションや例会を通して感じたこと、進出企業さんに対する思いなどをお聞かせください。
「ぜひ、もっと交流をしたい。なかなか今まで進出企業さんと関われる機会がなかったのでこういう場ができたことがありがたい。もっとこういう機会を作っていってほしい。お互いの認識のすり合わせをすることで、何か新しい産業が生まれるんじゃないかとワクワクしている。」
「天草は人が来ない、求人も魅力が低い、人が残らない、の現状でどうしたものかと思っていたら、進出企業さんが23社もいらっしゃって、今は凄い魅力ある仕事が生まれている。そういう情報が若い人たちや、外に出ていった人たちに届いてほしい。(進出をするなど)天草に魅力を感じている人たちがいっぱいいることをPRしたい。出ていこうとしてる人が留まったり、帰りたくなるような天草にしていきたい。」
「進出企業さんが何社か来ているのは聞いていたけど、予想以上に多かった。天草に雇用を創出してくださっているのがありがたいし、何より人材を求めて、人材を育成するために来てくださっているというのがうれしい。私は子供がいるので、子供たちにとってそういう良い教育がどんどん天草でも受けられるようになっていってくれたらうれしい。」
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございます。
今、天草にこんな素晴らしい動きが生まれているということが伝わりましたでしょうか?
何か少しでも天草の未来に魅力を感じて頂けたら幸いです。
しかし、未来を作り始めるのは今ここからです。
進出企業と地元とがともに歩みを進めなければ新しい活動は生まれません。
双方にメリットを生み出すような関係性あってこそ、進出企業が定着していくのだと思います。
是非みなさん、天草の未来を一緒に作っていきましょう。
ライターの可知でした!