語り継ぎたい!地元の昔話を方言で読み聞かせ
佐伊津町出身、ふるさと住民の山城優子です。東京で子育てをしながらフリーアナウンサーとして活動しています。天草を離れて改めて気づいたことや、天草の魅力、ママ目線で発見したことなどを中心にお伝えしていきます。
このnoteを読んでくださった方に共感してもらえたり、天草のことをもっと好きになってもらったり、ふるさと住民として何か始めるきっかけになってもらえたら嬉しいです。
今回は地元、天草市の佐伊津町に伝わるお話についてです。
天草・佐伊津の民話
皆さんは普段、方言を使っていますか?どの地域でも多少の言葉の変化や訛りがあるかと思います。私は仕事柄、標準語で話すことが多いのですが、母と電話をする時や、子どもを叱る時にたまに天草弁になります。やはり方言は体に染みついているんですね。
普段は「あのさ~」「それでさ~」と話している子どもたちなんて1週間帰省すると、もう天草弁で話しています。恐るべし順応力!子どもが使っているとかわいいですよね。
方言で話すと親しみやすいのはもちろん、私は安心感を持つことができます。どこにいようと天草弁で会話をしていると天草にいる気分になりますし、友人と話していると青春時代にタイムスリップすることもしばしば。
時代の流れと共に失われつつある方言ですが、なんとか残していきたい!
そこで、今ハマっているのがこちら。
「天草・佐伊津夜話」。地元佐伊津町にある西法寺というお寺のご住職が書かれた本です。戦前の話を中心に60話収録されています。天草の中でも特に独特だといわれる佐伊津弁。地元の方でないとちょっと難しい所もありますが、言葉の説明がついているので多くの方にぜひ読んでいただきたいです。
私はあっという間に読み上げてしまいました。まるで祖父母が読み聞かせてくれているような感覚になり、映像が頭に浮かびました。忘れかけていた方言を思い出し、懐かしく感じ、話に引き込まれます。
一話が短いので読みやすく、内容がまた面白い!クスっと笑える話、へ~と思える話が盛りだくさんです!
深まる地元への思い
特に私が好きなのは8「寺男ん四十九日ん餅」です。
続きはぜひ本で!
この寺男にとても好感が持てました。真面目というか純粋というか。「佐伊津にいるかも!」と思えたのです。馴染みのある場所やよく聞く名字の人が次々と出てくるところも読み手としては嬉しいところ。
また、今はもうない芝居小屋や鰯売りの女性も登場し、当時のことを詳しく知りたくなり、祖母に話を聞きました。
「むかしゃ、(芝居小屋に)舞踊団の来て、見ぃげぇ行きよったよ」
「いまぁイースト菌ば使った白かだごばって、むかしゃソーダだごばかり。色の黄色かと」
など他にもいろいろ教えてくれました。祖母はもう何度も読んでいるとのこと。
また、昔の良さを尋ねたところ、「昔の人は人懐っこい。隣近所の人とも親しく『ごめんなっせ~』『よれな、よれな』とよく一緒にお茶を飲んでいたそうです。それが今は付き合いも減り、隣の人が何をしているのかも分からない」と。
確かにそうだなぁと感じます。日々のコミュニケーションがあってこそ助け合えるし、思いやりのあるまちができていくのではないかと思います。
生き字引である祖母の話を子どもたちに伝えていくと共に、ネイティブな佐伊津弁に近づけるよう頑張ります!
昔話で読み聞かせ
仕事やプライベートで絵本の読み聞かせはよくするのですが、最近は地元に伝わる昔話で読み聞かせをすることもあります。佐伊津町には「延命地蔵様」別名「鼻なし地蔵」という有名なお地蔵様があり、子どもの頃はよく祖父母と散歩をしながらお参りに行きました。
お地蔵様の顔がない理由をお参りに行く度に祖母が教えてくれた記憶があります。
というお話です。
延命地蔵様の所には「延命水」と呼ばれる井戸水があり、遠方から汲みにくる方もたくさんいます。そんな大切な場所が今でも地元の方々に大事にされて残っていることは誇りです。「鼻なし地蔵」のお話を語り継ぎたいと思うようになりました。
天草では有名な郷土史家の上中万五郎さんがこのお話の紙芝居を作られました。ご本人のご許可をいただき、読み聞かせをしています。
子どもたちは毎回真剣に聞いてくれ、「もう一回読んで!」と言ってくれます。
佐伊津や天草に伝わる昔話は、まだまだたくさんあるので、家族や地元の方々に聞きながらレパートリーを増やしていきたいです。
いずれ天草に帰った時、読み聞かせでいろんな地域を周れたらなぁ。
皆さんの地元にはどんなお話がありますか?ぜひ、教えてください!
■天草ふるさと住民とは